世阿弥の『風姿花伝』が僕のバイブル。英雄を目指す“やばい”大学生が熱弁する夢の叶え方

こんにちは。インタビュアーのたいちです。

みなさん、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス、通称SFCをご存知ですか?
SFCとは慶應の総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部の3つを総称する際に使用する言葉です。このキャンパス自体は神奈川県の湘南に位置します。
名前の由来は、湘南藤沢キャンパスの頭文字を取ってS(湘南)F(藤沢)C(キャンパス)という訳です。

同じ大学に通う僕でもあまり馴染みのない学部です。

そこに通う生徒は「自分」をしっかりと持っていて大学生活の4年間をフル活用しているイメージが強いです。
今回はそんなSFC生の阪本弘輝さんにお話をお伺いしてきました。

既に夢を持って突き進んでいる大学生、まだ先が見えず不安な気持ちの大学生、夢はあるけど悩みが尽きない大学生、全員に突き刺さる言葉ばかりです。

きっと何か見えてくるはずです!

出る杭になれSFC

たいち

たいちです。本日はよろしくお願いします!

阪本さん

慶應義塾大学総合政策学部、阪本弘輝です。よろしくお願いします!


▲阪本さんです。良くインドネシアに行かれるとのことです。

たいち

早速ですが、SFCの方は自分の研究分野や、やりたいことも明確というイメージがあるのですが?

阪本さん

それはぶっちゃけ人によりけりなのですが、「そうじゃないとやばい」みたいな強迫観念が存在しているのは間違いないですね。

たいち

そうじゃないとやばい?

阪本さん

やばい。つまりSFCでよくあるのは自分のやりたことを持ってない奴はやばいし、社会で変わってるって思われへん奴はSFC生としてやばいみたいなところはありますね。

たいち

(既に結構変わっている…。)

阪本さん

実態がどうなのかは置いといて、そういう空気、強迫観念はほんまにありますね。良くも悪くも。普通やったら突き抜けんように、目立たんようにというような同調圧力が多いと思うねんけど、SFCは逆の同調圧力があります。

たいち

それで個性あふれる方が多いんですね。

政治家という夢

たいち

大学での阪本さんの専門分野を一言で言うとなんですか?

阪本さん

宗教社会学です。宗教の中でも、教義自体というよりはなんでその地域においてその宗教が力を持てたのか、もしくは持てなかったのか。宗教と社会の関係みたいなとこですね。

たいち

宗教ですか。なぜ数ある分野の中でそれを選択されたのですか?

阪本さん

元々めちゃめちゃ宗教が嫌いでした。というのも祖父が新興宗教の信者で、教義を押し付けられたんですよ。毎日喧嘩していてほんまに嫌いでした。でも、僕中学の時から政治家目指していて。政治やるとなると日本背負うわけですから、国際政治の中で戦っていかなくちゃならないわけですよ。統計とか見ると世界人口の8、9割が宗教持っているから、これはアレルギー持ってる場合じゃないと。知らないとやばいなって大学で勉強し始めました。そしたら見事にハマっちゃって(笑)。

たいち

今も政治家を目指してらっしゃいますか?

阪本さん

はい。就職先にも「政治家になるんでそのうち辞めます」とは言ってます。それでも採用してくれてすごくいい会社だと思います。大学時代は政治家を目指す上で必要とされる知識と現場経験だったり、見識を広めるということをしてましたね。

たいち

その夢は、中学の時からもう明確に決まってたんですか?

阪本さん

大体は決まっていました。でも一番の転機は高校で生徒会長になったことですね。僕の学校めっちゃ自由だったんですけど校則ができるみたいな話になって、それは違うだろうと。当時僕ダンスやってたんで金髪ですし。だから金髪生徒会長だったんですけど(笑)。

たいち

ドラマみたいですね(笑)。

阪本さん

生徒会長ってことは生徒の模範やから、教養ないとあかんなって思いました。それで「リーダー 読書」みたいな感じでGoogleで検索したんですよ(笑)。それで引っかかったのが塩野七生っていう人が書いた『ローマ人の物語』という本でした。ローマの歴史を全部書いたもので、それまで本は全然読まなかったんですけど、読み出したら止まらなくなっちゃって。全部で43冊あって、10巻前後でカエサルの話が出てくるんですね。カエサルって厨二病なんですよ。やることえげつなくて感動しちゃって、カエサルの真似し始めました(笑)。カエサルは三頭政治という他の実力者2人呼んで3人で政治を始めたんですよ。それを真似して近隣のトップ2校呼んで、3校生徒会連合作ったりとかしました。

たいち

へーすごい面白い!

阪本さん

カエサル好きすぎて全部真似したんです(笑)。で、彼を超えてやるぞって思ったんですね。その時に政治家になるという漠然とした考えが確信に変わりました。

たいち

他のカエサルを真似たエピソードもあれば聞かせてください!

阪本さん

他は演説のスタイルも参考にしました。カエサルって印象に残る言葉を短く言うんです。今でいうワンフレーズポリティクスでしょうか。大学1年生の時にSFCで開かれた「政策コーカス」というコンテストに出てリーダーやった時も、それを参考にして優勝しました。

たいち

効果抜群ですね~。

阪本さん

本読むようになったのもカエサルが影響してますね。昔の書物は巻物だったじゃないですか。それを今のこの形式にしたのはカエサルなんですよ。

たいち

え、そうなんですか!?

阪本さん

彼はめっちゃ読書家で、本にお金使いすぎて借金も結構あったらしいんですよ。カエサル超えるにはカエサル以上に本を読まなくちゃいけないなって。

たいち

どれくらい読まれるのですか?

阪本さん

週に2~3冊とかですね。古典を重視して読んでました。アリストテレスやプラトンですね。新書って結構な部分が既に言われている事だから1番コスパ良いのは原点に戻って、そこから積み上げて行った方が結局近道になります。


▲本の山…!

たいち

読みづらいとかないんですか?

阪本さん

読みづらいですよ~。慣れたら読めるようになるかと言うとそうでもない。『人間の条件』っていうハンナアレントの本があって、これはアリストテレスの論をベースに書いている本です。初めて読んだ時はそれ知らなくて、難しくて挫折しました。ちょっと経ってアリストテレスを読むようになってから改めて『人間の条件』を読み直したら、なんとか理解できたんです。前提となっている本の知識が積み重なってきたら読めるようになることはあります。本ってみんな命かけて書いてるから、しんどい思いして読み取る価値のあるメッセージが詰まっていると感じます。

たいち

古典とか特にそうですよね。

阪本さん

読み終わった後の感動はすごいですよ。

たいち

僕も勉強しなくちゃなー(笑)。

阪本さん

あはは(笑)。僕、読書会やってるんで良かったらぜひ。

たいち

読書会ですか?

阪本さん

友達とよく開催するんです。毎回テーマ決めて。例えば「愛」の読書会。愛に関連する本を読んで愛について語り合うとか。ついでに恋愛とも並行してやっていました(笑)。

たいち

んん?どういうことですか?

阪本さん

つまり、実践です。恋愛学を学びながら恋愛を進めるんです。実際に悩んでいる恋愛ごとに関して、今学んでいる内容を適用させてみたり。

たいち

おぉー、面白いですね。何か進展ありました?

阪本さん

その時は結構悩み抜いた末に、とても素晴らしい彼女を手に入れましたよ(笑)。

たいち

おぉー!

阪本さん

別れちゃいましたけど…愛とは難しいですね(笑)。今は哲学をテーマにやっています。社会人の方とか友達を家に読んで、料理やお酒を楽しみながら本について語り合ってます。

たいち

うわー良いですね!そういうのが大学生って感じがします!僕の周りでそんなことしようとしても、浮いちゃうかもしれないですね。「出る杭は打たれる」じゃないですけど。

幅広い価値観を知る事の大切さ

阪本さん

政治家を目指すとなるともうちょっと現場のこと知っとかないといけないなって。例えば社会保障を考えた時に老人ホームでバイトしたり、今はガイドヘルパーの資格取るために勉強しています。

たいち

社会人になる前のこの時期って特にそうだと思うんですが、今も何かやられているんですか?

阪本さん

現場作業員?土方?って言うんですかね。建築現場の荷揚げですね。肉体労働ってやつです。

たいち

大変な仕事ですよね。どうしてその仕事を?

阪本さん

頭脳労働が正義で肉体労働をバカにする風潮。いかに効率良く稼ぐか、コスパ良く仕事をこなすかということを良しとする人が、世間で言う良い大学に通ってる人には多いかなと思うんです。自分も正直言うとそっちの考えを持っていた時期もないと言えば嘘で、でもどちらももちろん大変な部分ってあるわけじゃないですか。どっちが良いとか悪いとかじゃなくて。それを知らなくて政治家をやっていけるのかって。その大変さっていうのを実感として持っておきたいなって思って始めました。出来るだけ色んな人の気持ちに寄り添えるような人間にならないと政治家は務まらない。

たいち

素晴らしい心がけですね。普通にバイトをしようと思っているだけでは、出会わない職業に出会えそうですね。

阪本さん

そうなんですよ。今ちょうどインターンもしてます!海外出張にも行かせてもらえたんです。取引先とお酒飲んでたら、朝飛行機逃すなんて話もあったんですけど(笑)。肉体労働からインターンに戻った時に、どれだけ肉体労働が大変かが身に沁みてわかるんです。1つの仕事しかしていなかったら、わからないような経験を得ることができます。やってみることによって偏見も取り除かれますし。何事もやってみないとわからないんだなって思います。

たいち

その通りですね。両方経験された阪本さんのコメントだからこその説得力があります。肉体労働の現場で出会う人とインターン先で出会う人って考え方も違う訳じゃないですか。そこでそれぞれの環境双方を鑑みて生まれた考えってありますか?

阪本さん

んー、両方鑑みてかー。んー、特に無いかもしれませんね…。それぞれにどう接していくかという問題ですから。彼らの生きる上での行動規範とか指針とか夢、目標が違いますから。そこに対してアプローチすることは無いのかなって思います。

たいち

なるほど。つまりさっきのSFCのお話みたいに、本来進む道を無理矢理変えてしまうことになりますものね。

阪本さん

そうですそうです。

夢を口にすることの意義

阪本さん

政治家を目指す理由も、社会を変えたいというよりはそこに対する姿勢がカッコいい人とか自分が目指すべき人がいたらそれだけで生きるモチベーションがあがるので、それで盛り上がりたいだけなんですよ。カエサルとか見て「こうなりたい!」って思うだけで価値があることなんですよ。

たいち

阪本さんを見て誰かのモチベーションが上がったら良いなってことですか?

阪本さん

そうです。僕にとってのカエサルになりたいんです。歴史を勉強していて思うのが、かつての英雄が次の英雄を作るということです。カエサルはアレキサンダー大王に憧れていたし、アレキサンダー大王はギリシャ神話のアキレスに憧れていたというように。過去の英雄に鼓舞されて次の英雄が生まれてくるんですよ。その系譜に僕も加わりたいなって。歴史になる・加わるって人間に許された最大の贅沢だと思うんですよ。

たいち

(かっけぇ…。)

阪本さん

でも当たり前だけど、そんな簡単なことじゃ無い。そうなれる人間になってそうなれるタイミングがあれば全力投球したいなって考えています。無理に求めるんじゃなくて。ただただ、その瞬間に備えて準備するしか無いなって感じです。

たいち

人のモチベーションを上げる存在や歴史を作る人間って政治家もその1つではあると思うんですけど、もし政治家以外の手段が見えたらそちらに行ってしまうことも有り得ますか?

阪本さん

可能性としてはありますが、自分の適正も考えて政治家しか無いとも思います。人ってそれぞれ出来る事、出来ない事あるじゃないですか。僕が金儲けの才能あったらベンチャーの社長になりますし、頭が良かったら学者になると思います。しかし、それらは持ち合わせてないんですよ。その代わり演説とプレゼンは誰にも負けない自信があるんです。それを仕事にする最高形態が政治家だと考えています。

たいち

本当に中学生の時からまっすぐ政治家なんですね。この先の道筋も決まっているんですか?

阪本さん

会社を辞めた後は大学院に行って勉強し直します。最初はとりあえず地元の神戸に貢献したいと思っています。やはり地元に恩返しをしたい気持ちは強いです。

たいち

神戸から始められるんですね。歴史に加わりたいとおっしゃってましたが、具体的な到達地点はどんなことをお考えですか?

阪本さん

んー、わかりやすく言ったら地方分権ですかね。歴史を見た時に「集中」と「分散」を繰り返しているという見方があって、今は国民国家の体制、つまり「集中」が続いている時代です。それなら次は「分散」の時代だろうと。大きな歴史の転換点に立った人だけが歴史を作れるんで、僕が歴史になれるとしたらそこの扉を叩く1人にならないとダメ。というような考えです。全然ロジカルじゃないんですけど(笑)。もし本当にそのような変化を必要とする時代が訪れるのだとすれば、僕がその扉を叩くチャンスも巡って来ると思っています。そのタイミングが来ると信じて備えるしかないですね。

たいち

僕の好きな言葉に本田圭祐の「毎日良い準備をするだけ」という言葉があります。今日よりも明日、明日よりも明後日、さらに良い準備を重ねていく。幸運やチャンスってそのような準備が呼び寄せるものだと思ってます。それと同じことですよね。

阪本さん

他にもUVERworldの言葉で「口に出さない夢は叶わない」とかもありますよね。夢を1人で叶える人って限りなく少なくて、他人の存在あってこそじゃないですか。アーティストだってファンの存在がなきゃ成立しない訳で。誰かの存在や協力が無ければ夢って成し遂げられない。その夢を口に出さなければ、他人にもわからないですよね。

たいち

このインタビューでも堂々と夢を語って頂けましたね。

阪本さん

そうですね。神戸市長になった時に「この時こう言ってました!」って言いますね(笑)。

たいち

おお、それは楽しみです(笑)。

阪本さん

口にするしないの話で行くと、市長や知事、政治関連の方とお話した時に、みなさん共通しているのが「元々政治家になろうと思ってなかった」とか「上に言われたから」という方がいるんですね。謙遜なのかもしれないですけど。でも、それくらいの気持ちしかない人たちに負ける気はしないです。僕がその立場に着くことが出来たら「中学の時からの夢だった」って言いたいです。

たいち

そう言ってくれる人の方が僕らも安心して生活を託せます。

阪本さん

そんな人たちに負けないよう、自分の可能性を信じて進んでます。

これは読んどけ大学生

たいち

今の大学生に「これは読んどけ」って本ありますか?

阪本さん

大学生というよりか日本全体に言いたいのが、世阿弥の『風姿花伝』です。僕が今まで読んだ古典の中でトップレベルです。『風姿花伝』は能の秘伝書です。広い意味でのパフォーマンス全てに共通することが書いてあります!ダンスやプレゼンにも通ずるものが書いてあります。


▲『風姿花伝』の表紙です。お面が印象的です。

たいち

今のうちにプレゼンを学べることは大事ですね。

阪本さん

読んですごい感動して、なんで自分の国の書があまり読まれてないんだろうみたいな。他にも、日本人特有の美意識である「咲いて散る」の真髄なんかも記されています。平たく言えば「カッコいい生き方」が書いてあります。

たいち

人生のバイブルになりそうですね!

阪本さん

僕の人生のバイブルは『ローマ人の物語』と『風姿花伝』ですね。

たいち

それをバイブルにあげる大学生なかなかいないですよ(笑)。

大学生よ、恥を捨てろ

たいち

最後に、今燻っている大学生に一言お願いします。

阪本さん

「恥を捨てて気が向いたことをやれ」。恥を捨てる意味として、恥が意味を成す場面って特に無くて、恥を取っ払わないと自分が出会うべきものに出会え無くなってしまうんですよね。自分のブレーキを無くしてあげないと。気が向いたことをやれっていうのは、自分がときめくものに出会わないとやりたいことなんて見つからない。出会いを増やすしかないけど、全部やるのは無理だからちょっとでも気が向いたことがあれば逃さずにやってみることですね。そしたら1個くらい見つかると思います。

たいち

恥を捨てる、とても難しそうですがブレーキかけてしまっては出来ることも出来ないですよね。僕も恥を捨てて様々なことに挑戦してみようと思います。本日はありがとうございました!

恥を捨て、夢を口に出す

夢に向かって全力疾走の阪本さん。その姿や言葉は深く僕の心に残りました。

同じ大学生なのに勉強や社会への向き合い方が立派すぎて感動しました。
やはりSFCの方のお話しは面白い~~~!

英雄の系譜に加わるだとか、夢は口に出さないと叶わないとか、実際に行動を起こしている阪本さんだからこそ胸を張って言えることですし、日々のんびりと暮らす僕にはぶっ刺さる鋭い言葉でした。
阪本さんの言葉や夢へ向かう姿勢が、みなさんの背中を押すきっかけになってくれたら嬉しいです!

阪本さんのツイッターはこちら

ライター紹介

たいち

慶應義塾大学法学部政治学科3年。キャンピングカーが欲しい。とても欲しい。

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