諦めなければ希望はある。マジック日本代表が語る努力の真髄 #マジックバカ

こんにちは、あつしです。

突然ですが皆さん、人生で一度は魔法を使えたら…と思ったことはありませんか?
魔法でお金を増やしたい、魔法で即座に移動したい・・。
そんな願いを一瞬で叶える大学生がいました。
それが…#マジックバカ

今回ご紹介するバカは「#マジックバカ」の山里レオさんです。
現役の医学部生でありながらマジックを両立し、日本代表まで選ばれた実力者!

しかし、成功の裏には数々の苦難がありました。
ドキュメンタリー映画のようなリアルで人間味あふれるインタビューをお楽しみください。

マジックのきっかけは「使命感」

あつし

こんにちは!インタビュアーのあつしです。よろしくお願いします!

山里さん

宜しくお願いします!
順天堂大学医学部5年(取材当時)山里です。


▲ スーツに身を包んだ山里さん。既にマジシャンの風格が出ています。

あつし

今回は、マジック?手品?バカということなんですが、この違いってそもそも何ですか?

山里さん

明確な違いはありませんので、あくまで僕のイメージですが、マジックは魔法のデモンストレーションというニュアンスが強いと思います。何もないところから物質を生み出したりとかですね。手品は手の品と書くように指先の技術を用いた芸としての側面が強い気がします。お客さんの選んだカードを当てたりするのは手品っぽいと思います。

あつし

なるほど。確かに言葉によって想起されるイメージは少し違いますね。(※本インタビューではマジックを使用します。)

違いが分かったところで、早速本題の「マジックバカ」を代表するエピソードを教えてもらえますか?

山里さん

「FISM Asia Championships of Magic 2017」という大会で日本代表として出場しました。


▲2017FISM ASIAでの様子。

あつし

え?アジアチャンピオンシップに日本代表で出場?(めっちゃ凄い人やん…)

ちょっと大会のことは後々詳しくお聞きするとして、まずマジックを始めたきっかけから教えてください。

山里さん

最初は観るのが好きで、テレビでよく観ていました。それで中2の6月ですかね、本屋さんへ行ったとき、ふとマジックの本なんてないかなぁと思って探してみたら普通にあったんですね。そしたらそこにですね、これ載せちゃっていいのかなっていうタネが沢山載ってたんですよ。なんだか見てはいけないものを見てしまったような気持ちで「これは自分も見せる側に回らなければならないのでは…」という謎の使命感を感じまして、翌日すぐにマジックショップへ行ったのが始まりです。

あつし

マジック本というのも初めて聞きましたけど、マジックショップなんてあるんですね。

山里さん

あるんですよ。そこで簡単なのを1つ買って、めっちゃ練習して友達に見せたんですよ。そしたらスゲェスゲェってめっちゃ周りが驚いてくれるんです。最高に気持ちよかった。でも、同じネタを見せて回ればみんな飽きちゃうんですよね。タネがバレるリスクもありました。だから2週間に1度くらいのペースで、マジックショップに行って早急に次のネタを仕入れにいってました。

あつし

それってかなり大変じゃないですか?

山里さん

大変ですけど、中学2年生って承認欲求の塊ですし、周りが楽しんでくれるというのが原動力でしたね。なので、また次の練習をして見せる、その繰り返しでした。

あつし

そうやっていくうちに技術が磨かれていったんですね。高校でも引き続きマジックはされていたんですか?

山里さん

はい、やっていました。自分で手品の部活を設立したりもしました。それでマジックにのめり込み過ぎて浪人する羽目になりました(笑)。

あつし

さすがマジックバカですね(笑)。

白衣を着たマジシャンの誕生

あつし

大学に入ってからはどうされていたんですか?

山里さん

大学が医学部ということもあって学費もかかり生活が大変でした。家も遠く、バイトしようにも授業と通学時間のせいでできる時間が限られていて、普通のバイトではお金が持たなかったんです。そこでいっそマジックでお金を稼いでみようと最初は上野の路上でストリートマジックをやっていました。

あつし

その勇気と度胸はどこから(笑)。気になるんですけど、路上でのパフォーマンスって結構稼げるものなんですか?

山里さん

稼げたわけではないですけど、ギリギリ食いつなげるくらいには(笑)。それで、その回数をこなしていくうちにレストランやバー等のお店で仕事の機会が増えてきたんですよ。最近では企業のパーティ営業もありますね。


▲営業での一枚。笑顔が輝いています。

あつし

もうプロじゃないですか(笑)。そういった営業って自分から売り込みにいくんですか?

山里さん

バーなどでマジックを見てもらったお客さんと名刺交換をして、後から電話がかかってくることが多いですね。基本的に人伝で仕事は頂いてます。

あつし

なるほど。路上やお店では週にどれくらいされてるんですか?

山里さん

最近は勉強が忙しくてあまりできてないですが、当初は路上で週3~4回、最近ではお店で週1くらいやらせて頂いてます。あとは時々営業で出張公演をしたり。

あつし

週のほとんどをマジックにつぎ込んでいるとは…。もちろんそれに加えてマジックの練習もあるんですよね?

山里さん

はい、ありますね。

あつし

医学部ということなので勉強も忙しいと思うんですが、一日のスケジュールってだいたいどんな感じなんですか?

山里さん

実習が朝の8時からあるので、5時半に起きて6時半に家を出ます。
そこから夜の5~6時まで病院で実習して、8時頃まで勉強、9時過ぎに家に帰ってからまた勉強という日もあれば、深夜までバーでマジックをしてる日もあります。


▲白衣を着てマジック。こんな光景見たことない。

超努力型人間の裏側

あつし

本当にマジックと勉強尽くしですね。そんなに勉強に追われていてもマジックの練習を怠らないのは凄いですね。

山里さん

もともと自分は、かなり不器用なんです。でもマジックが好きだったのでめちゃくちゃ努力はしました。新しいテクニックを習得しようにも下手くそなので、どれだけ練習しても「まだ出来てない」と思ってしまうんです。そうして呆れるほど練習してるうちに気がつくと「あれ、結構出来てる…?」みたいな感じで習得してました(笑)。その繰り返しで、不器用だった自分が今ではマジック界隈でもテクニックの方を評価して頂けるようになりました。

あつし

不器用とは意外ですね!

山里さん

よく言われます。だから勉強もマジックもかなりの努力型だと思います。勉強ももともとクラスでビリの成績でしたが、とにかく量をこなして医学部に受かりました。マジックの中でもコインマジックが一番得意なんですが、コインマジックってスポーツみたいなものなんですよ。とにかく練習すれば強くなれますし、筋トレと同じでずっとやり続ければ成果が出ます。


▲山里さん得意のコインマジック。ここからどんなマジックが繰り広げられるのか気になります。

あつし

勉強にもマジックにも同じスタンスを貫いているんですね。マジック界隈ではコインが得意ってどれくらいメジャーなんですか?

山里さん

僕のスタイルは今のコンテストではあまりないスタイルだと思います。コンテストでは、強力な現象を起こすために大掛かりな仕掛けを使う方が多いんですが、自分の場合は仕掛けのない道具で、シンプルな現象をとことん突き詰めた感じです。例えるなら周りがマシンガンで武装して戦う中、己の拳で戦うようなものですが、意外と戦えるんですよ(笑)。

あつし

努力で鍛えた拳は鉄より強いんですね(笑)。でも、素人の疑問で、マジックの歴史が長い分、タネって一通り出尽くしているようにも思えるんですが、そこは努力で何とかなるんですか?

山里さん

全てが新しいというのは難しいですね。既存を組み合わせたり派生するのが普通で…もちろん僕のマジックも完全にオリジナルというのはありません。まぁ細かく説明しようと思ってもタネになっちゃうからちゃんと説明できないんですけどね(笑)。

あつし

もどかしいところですね(笑)。

山里さん

でも、誰もが知っているテクニックでも極めればそれが進化になります。たとえ、そのテクニックを知っている人が見ても「そのスピードできるわけがない!」と思わせれば騙すことが出来ますし、それはマジックとして進化したと言えます。

あつし

なるほど。知っているからこそ常識を覆すことができれば大きな驚きになるってことですね。大会ではそういったマジックを出せるか出せないかが鍵になってくるんですか?

山里さん

そうですね。コンテストは審査員はもちろんお客さんもほとんど全員マジシャンなんですよ。

あつし

えぇ!それは緊張しますね!

山里さん

だからこそ会場が盛り上がった時は気持ち良いんですよ。

あつし

その光景見てみたいです。ちなみに他のマジシャンにはない山里さんの強みって何かありますか?

山里さん

もともとストリートという360度見られて、ヤジも飛んでくるというあの過酷な環境でやっていたのが強みになりましたね。


▲過酷な環境での努力が成果に直結。

あつし

なるほど。常に誤魔化せない上にイレギュラーな環境下での経験はかなり活かせそうですね。

山里さん

過酷なジャングルのようなストリートで鍛えぬかれたおかげで、野生の勘が身につきましたし、手強いお客さんが相手でも強烈なマジックでノックアウトできるようになりました。キャプテンアメリカも腕力で超兵器に勝てるじゃないですか。ああいうのに憧れますね(笑)。

あつし

わかりやすいですね(笑)。

FISM Asia出場への道

あつし

冒頭でお話されていたアジア大会はどういったものなんですか?

山里さん

3年に1回開催しているアジア最大の大会で、年齢問わず出場者はほとんどプロです。

あつし

各国の強者が集まるわけですね。3年に1回ということは前回の大会にも出られたんですか?

山里さん

前回の大会は大学2年の時に開催されまして、自分は出なかったのですが尊敬するマジシャン達が日本代表として出場してるのを見て、すごく憧れたんです。それで「俺も3年後この大会に出ることを大学生活の目標にしよう!」と決めたんです。バカですよね医学部なのに勉強そっちのけでそんなこと言い出して(笑)。そういう訳で小さなコンテストから少しずつ挑戦し、徐々に評価を得られるようになりました。そしてついに大学4年生の時にそのアジア大会の予選が開催されまして、絶対勝ち進むぞと意気込んで出場しました。

あつし

潔いほどにバカですね!凄い好きですよ、その考え方(笑)。それで、結果はどうだったんですか…?

山里さん

それなりに自信もありました。でも、本番にでかいミスをしてしまったり、審査員とかみ合わなかったりで散々な結果になってしまったんです。嘘だろ?ってぐらい落ち込みました。周りは呆れてましたが、僕は「大学生活終わったな」って思いました。あと2年ある医大生なのに(笑)。

あつし

え、自信満々だったのに負けちゃったんですか…。そこからはどうされたんですか?

山里さん

どうしても諦められなかったので前回大会に出場していた先輩に相談してみたんですよ。そしたら数ヶ月後に関西でも予選が開催されて、そちらから2~3枠出られるらしいと聞いたんです。

あつし

お!敗者復活戦の始まりですね!

山里さん

ですが、関西の方の予選は業界では超有名なエリートの方達が沢山出る激戦区だったんですね。正直自分が出て勝ち進める望みは無いと思いました。しかも当時の自分は本当にお金がなくって、大阪まで行って大会に出て帰るだけでかなりの金額でしたから、正直参加は難しいと思いました。毎日病院で実習があって時間的にも体力的にも余裕ありませんでしたし。でも徐々に「チャンスが残っているのにここで諦めたら一生後悔するんじゃないか」という考えに取り憑かれちゃいまして。それで悩みに悩んだ挙句、負け戦とはわかっていても結局、関西まで行っちゃいました。バカだったので(笑)。

あつし

もうさすがとしか言えないです(笑)。

山里さん

前日の夜から格安の深夜バスに乗って大阪まで向かい、狭いシートで一睡もできないまま、身体バッキバキの中演技しました。とはいえ、やると決めた以上は本気でしたから、とにかくもの凄い練習していったんです。中途半端にやったって後悔するに決まってますから。そうして本番に挑んだら自分が思ってたより遥かにウケまして、ギリギリ3位に入賞できたんです!3位は出れるかどうかわからない順位だったんですが、審査の結果、無事アジア大会への参加連絡がきました!本当に嬉しかった。その時は心から「バカで良かった」って思えましたね!

あつし

凄すぎますね…!おめでとうございます!本当に行ってよかったですね!

山里さん

ありがとうございます!一切観光せず日帰りで深夜バスに乗って帰りましたけど本当に行ってよかったです。これでもだいぶ端折ってるんですが、本当に困難の連続で、針のような細い道を潜り抜ける気持ちでした。

あつし

逆転劇ドラマみたいですね。あとはアジア大会本番で力を発揮するだけですね!

山里さん

そうなんですけど、大会日が病院の救急科の大切な実習と被っていたんですよ!年に1回の救急車実習で欠席は厳しいと大学に言われました…。この時は本当に自分の悪運を恨みましたね…。

あつし

救急車実習!?命を救うためにも絶対出なきゃいけない実習じゃないですか!かと言って、ここまで来たのに諦められないですよね。どうやって出場したんですか?

山里さん

こちらもかなり苦労しましたが、大会の事務局と連絡を取り誓願書を作ってもらい、学生部長と教授に直談判したところOKしてもらえました。

あつし

よく通してもらえましたね。それで本題の大会の方はどうだったんですか?

山里さん

かなり練習していったので本番も思っていたよりかなりウケました。終わった後に自分の尊敬するマジシャンの方達からも沢山お褒めの言葉を頂けて、これは世界大会まで進めるかと一瞬期待してしまったんですが、結果やっぱり勝てなかったです。なまじ期待しちゃった分悔しかったですね。コンテストに出れるのは学生までと思っていたんですが、こうしていざ負けると悔しくて悔しくて、いつか必ず世界に行ってやるぞと思ってしまいました。次の3年後は研修医なので大変ですが諦めずに頑張りたいです!


▲夢の舞台でのコインマジック。

あつし

やっぱり世界の壁は分厚いですね。それでも医大に通いながら、日本代表で出場するなんて本当に尊敬します。

山里さん

ありがとうございます。

医者×マジックならではのエピソード

あつし

少しお話を変えて、これまでのマジック活動を通して感動した話や思い出に残っていることはありますか?

山里さん

静岡の病院で実習をしていた時に、小児科でマジックを見せたんです。小児科って娯楽がないので、みんな凄い喜んでくれるんですね。中でも僕のことを気に入ってくれた子がいてよく見せていたんですが、その子が退院する前に自分の実習期間が終わっちゃったんです。その後、僕の同級生が後日同じ病院で実習があって、その子から僕宛に手紙を受け取ってきてくれたんです。それがこれです。



▲思い出の手紙。大事にしていることがとても伝わってきます。

あつし

これは一生忘れられないですね。

山里さん

めちゃめちゃ嬉しかったです。この子はもともと将来お医者さんになりたいと言っていたんですが、僕のマジックを見たことがきっかけでマジシャンになりたいと言ってくれたんです。その時に自分はマジックを通して人の夢や気持ちに影響を与えられることができるということに気づきました。そして彼の夢が、マジシャンと医者の両方を目指して頑張っている自分の姿と重なって、自分ももっと頑張らないとって思ったんです。その気持ちを大切にするために、この手紙は常に僕の衣装の内ポケットにしまってあるんです。だからこんなにくしゃくしゃなんです(笑)。

あつし

めっちゃ良い話ですね。医者とマジックの二つを備えた山里さんならではのエピソードありがとうございます。

マジシャンの挫折とその乗り越え方

あつし

逆に一番辛かった出来事や挫折ってなんですか?

山里さん

やっぱり関東での予選敗退ですね。あの時は自分の全力をぶつけたつもりでしたから、これまでの努力を否定されたような気がしました。自分では頑張ってるつもりでも、周りからしたら評価されるほどのものじゃなかったのかとも思いましたし。

あつし

自信をへし折られたってことですよね。そこから次の予選までにどうやって持ち直したんですか?

山里さん

一度、マジックのレクチャーを開催したんです。通常レクチャーってある程度有名な人じゃないとできないものなんですよね。


▲レクチャーを開催。かなり近い距離にお客さんがいます。

あつし

マジシャンから直に教わるわけですから、ある程度の認知度や人気は必要ですよね。

山里さん

ましてや惨敗した後で自信喪失してましたから、そこでレクチャー開こうなんてバカな話です。でも、どうしてももう一度自分の力を信じてみたいと思って、あえて参加費無料にして自分のレクチャーを自分で主催しました。自力かつ無料でやる以上準備が凄く大変でしたが、後輩たちが手伝ってくれたおかげで何とか開催出来まして、しかもこれがもの凄いウケたんです。こんなにウケていいの?ってくらいウケて終わった後は拍手が鳴りやみませんでした。その時に、「俺スゲーじゃん!!」って(笑)。なんとかまた自信を取り戻せたんです。そのお陰で大阪予選に出る決意が出来ましたし、この時手伝ってくれた後輩と参加してくれた皆さまには本当に感謝しています。


▲拍手喝采。安堵した表情が伺えます。

あつし

失われていた自信を取り戻したんですね!それにしても、よくそんな思い切った行動取れますよね。

山里さん

本当に無理だと思った時こそ、開き直って思い切った行動をすることの大切さを感じました。どんなに死にそうな時でも実際は死んでないですし、死ぬ気で頑張ればなんとかなるという経験が多すぎて、どんな状況でも希望を探してしまうようになってしまいました。でもそうやって探すと見えてくるんですよ!希望が!もはや一種の病気ですね(笑)。

あつし

いやいや、才能の一種ですよ、それは(笑)。その性格やスタンス見習いたいです!他にもエピソードはありますか?

山里さん

うーん…しょうもない話なんですけどね。去年の夏の夜、パピコのブドウ味を食べたいと思ってコンビニ行ったんですけど、ブドウ味なかったんですね。それで、次に近いコンビニに行ってもなくて、でもどうしても諦められなくて、結局隣の駅のスーパーにまで歩いてゲットしに行きました(笑)。

あつし

執念が凄い…。僕ならすぐ諦めちゃいます(笑)。

山里さん

いや絶対そっちの方が賢いです!でも僕はバカなので賢い生き方ができないんです(笑)。

あつし

(バカと天才は紙一重とはこういうことなのかもしれない…。)

目標とするマジシャン像

あつし

実力も精神もトップクラスだと思うんですが、目標としている人物っていらっしゃいますか?

山里さん

前田知洋さんですね。前田さんはマジシャンの前に、人としてスマートで紳士的で、この人のマジックを見て嫌な気持ちになる人って絶対にいないと思うんです。

あつし

どういった点にそう思うんですか?

山里さん

やはりマジックってタネがあるものですから、お客さんの中には見破ってやろうとして敵対的な目線で見る方もいらっしゃいます。ですが前田さんはそもそも人間的に魅力があるので、お客さんからの尊敬を獲得出来るんですね。そうすると素直にこの人に騙されたいという気持ちが自然と出てきて、結果的にお客さんは心からマジックを楽しむことが出来るんです。なんだか「タネも仕掛けもありますけど、あなたを楽しませるために騙しますよ。」って言われているように感じます。

あつし

お聞きしていると、1人の人間として勝負しているように思えますね。それに律儀というか向き合い方が興味深いです。

山里さん

そうですね。昔、一度前田さんのトークショーに参加させて頂いたことがあったんです。終わった後に自分のトランプを持って駆け寄って、サインしてください!って言いました。今思えば迷惑な客だったかもしれませんが、親切に対応してくださり、こちらを頂きました。


▲前田さんのサイン入りゴールドフレームトランプ。

山里さん

このトランプ、ゴールドフレームといって、前田さん専用の非常に貴重なトランプなんです。ポケットからご自分のカードを取り出してその場でにサインしてプレゼントしてくださり、本当に嬉しかった。こうして今でも大切に持ってます。

あつし

めちゃくちゃ貴重な宝物ですね!いつか肩を並べて舞台に立てたらいいですね!

山里さん

そうですね!夢の一つですが、マジックだけでなく自分の人間性が伴わないといけませんから、今から沢山の経験を積みたいです。

あつし

個人的な今後の展望もお聞きしていいですか?

山里さん

医者とマジシャンを一生両立していきたいです。どちらも昔からの大切な夢でしたから。マジックは人を楽しませることが出来ますが、病に苦しんでる人を元気にする力はありません。医師として患者さんを苦しみから救うことが出来れば、安堵で笑顔になることはあるかもしれませんが、楽しくて笑いが溢れてくる訳ではありません。自分はその両方が出来るようになりたいんです。

あつし

なるほど。2つのアプローチで患者さんを救いたいということですか。本当に素晴らしい夢です。それに、これは他の人にはなかなか真似できないことですね。両立大変ですが、頑張ってください!応援しています!

山里さん

ありがとうございます。あとは、マジックに対する世の中のイメージを変えたいですね。やはりマジックはタネがあるものなので、今の日本ではクイズの延長のように捉えられてしまうことが多く、テレビでもタネ明かしを前提にした構成が多いです。純粋にエンターテイメントとして楽しまれる文化があまり浸透してないんですね。

山里さん

例えば、アメリカではマジックショーがミュージカルと同様に様々な劇場で常に公演されていて、カップルや家族連れで満席になる土壌や文化があります。でも、日本はそもそもここに行ったらいつでもマジックがやっているという劇場がないんです。歌舞伎やアイドルの劇場はあるのに、マジックはない。確かにマジックバーなどに行けばいつでもマジックは見れますが、やはり小規模でニッチな市場です。なので殆どの方が生でマジックを見たことがないと思います。でも僕はマジックがどれだけ面白いものか日本中の人に伝えたいです。タネと仕掛けに脳が騙されて、魔法を感じるという感覚がこんなに気持ちのいいものなんだって。だから多分、そのうち「劇場を作る」とか言いだすと思います。バカなんで(笑)。

あつし

確かに言われてみればそうですね。自分もついついタネが気になってしまい、純粋に楽しめていないことに気づきました。それに、まだ生で本格的なマジックを見た経験がないので、「劇場に行こう」という発想も浮かんでこなかったです。今度ぜひ行ってみたいです。

山里さん

ぜひ!

あつし

それでは、学生に向けてメッセージをお願いします!

山里さん

大学に入ると一気に視野や選択肢が広がりますよね。高校の頃は見ることのなかった世界に触れることが出来るようになります。その中で何でもいいので自分がビビッとくるものを見つけて、飛び込んでいって、憧れをもってください。そしてその憧れに向かって全力で進んでみてください。でも、続けていると絶対に壁にぶつかります。きっとその時はもうこれが自分の限界だと思って、落ち込むはずです。ですが、そういう時にこそ諦めずに希望を探してください。時間はかかってもいいんです。でも諦めずに探し続ければ、必ず突破口は見つかります。そして、その壁を乗り越えたという経験は絶対的な自信につながります!こういう経験を学生のうちに積むことこそが、社会人になってから自分の人生を自分らしく生きるために必要なんじゃないかと思います。


▲諦めずに努力を積み重ねてきた山里さん。

あつし

ありがとうございます!経験してるからこそ重みが違いますね。それでは最後に山里さんにとって、マジックとは?

山里さん

これは…僕も一生懸命考えたんですが、なかなか答えが出ませんでした。自分の人生の中でマジックが背負っている役割が多すぎて、これっていう一つに絞れないんです。

あつし

マジックが大きすぎるが故に一言でまとめるのは難しいですよね。

山里さん

ただ、自分の人生においていつでも、マジックへの情熱が自分の行動を導いてくれました。医者を目指そうと思ったのも、もともとマジックで人を笑顔にさせることの喜びに目覚めたことがきっかけでした。「マジックで人を楽しませたい!」というシンプルな目標が自分を今の場所に辿り着かせてくれるんです。

あつし

なるほど。

山里さん

それで思ったんですが、昔の人は砂漠や海を渡る時、あたりが真っ暗で何も見えなくても北極星を頼りにして旅をしたと言います。そういう意味で自分にとってのマジックとは、真っ暗で先が見えないこの人生を歩いていく上での北極星のようなものなのかもしれません。どんなに生き方に迷った時でも常に方向を指し示してくれる。そんな存在です。ちょっとキザですかね(笑)。

あつし

「北極星」凄いしっくりきますし、良いですね!本日は長時間ありがとうございました。

山里さん

ありがとうございました!

おまけ:マジック実演

実際に取材現場でマジックをしていただきました!
※タネの都合上、静止画でお楽しみください。

▲タネも仕掛けもありそうなコイン

▲このコインを山里さんの右手から左手、そして私の手の中へ移動させると言います。

結果、本当に何もないところからコインが生まれては消え、終始信じられませんでした…(笑)。

続いては、トランプマジック。

▲何の変哲もないトランプ。

パラパラとトランプを見せられ、その中で1つ、クローバーのKを覚えました。
そして、山里さんはそのトランプを当てると言います。

いやいや、そんなまさか…

本当に当たっている!!

以上、マジックの面白さも体感してきました!

塵も積もれば山となる

マジックへの想い、山里さんの向き合い方、かなり刺激的だったんじゃないでしょうか?
どんな時でも諦めず、ひたすらに努力をし続ける。
そんな姿に私も胸打たれました。
諦めてはいけないとわかってはいるけれど、人間諦めがちですよね。
そういったスタンスを作るには、まず少し粘って小さな成功体験を積んでいくのが大切だと思います。
ただ、諦めずに頑張りすぎて身体を壊しては元も子もありません。
無理せずに少しずつ努力していきたいですね。

ぜひ、皆さんも好きなもの、興味のあることにとことん挑戦してみてください!
それでは、次回もお楽しみに!

#マジックバカ (山里レオさん)ツイッターはこちらから。

ライター紹介

あつし

松屋のビビン丼と山形だし牛めしの復活を願う24歳。熱しやすく冷めやすい大阪人。

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