「人の価値は何で決まるか」半身不随を乗り越え、教育の根底から変革を目指す学生にインタビュー

ちょっと変わった小学校に通い、中学でも優等生。高校では塾にも通わず全国模試トップを取ったこともある柏原さん。
過去には半身不随で車いす生活を経験したんだとか。
そんな柏原さんだからこそ想い描く理想の塾とは?
「塾は病院」ってどういうこと??

塾という病院から早く退院させたい

セリナ

柏原さんは現在どのような活動をしているのですか?

柏原さん

Freedom Growth Club(FGC)という、「会社に縛られない生き方をしよう」というコンセプトを掲げるコミュニティに所属し、ブログビジネスで収益を上げています。それに加えて、その団体経由で3月に共同創業者として教育系の会社を設立しようと準備しているところです。


▲熱く語る柏原さん

セリナ

教育系の会社ですか。具体的には...?

柏原さん

塾を作りたいと思っています。塾と言っても普通の塾ではないんです。従来の塾は塾生に長く通い続けてもらってお金を落としてもらう戦略を含んでいますが、私はもっと生徒のことを考えた塾にしたいと思っています。私が作る塾では、生徒は塾に通わず宿題もありません。合格までのロードマップを作って定期的なミーティングを行ったり、同じ目標に向かっている生徒同士を繋げて双方向の教育をしたり、最新の情報をセミナーとして提供したりします。

セリナ

今までには聞いたことのない、革新的な塾ですね。

柏原さん

そうですね。私自身過去に一度も塾に通っていなくて、それは親から、「塾は自分で勉強できないという病気にかかっている人が通うところ」だと教わっていたからなんです。だから、生徒には最終的に自分の力で勉強できるようになって早く塾という病院から退院してもらいたいという思いがあります。

セリナ

「塾は病院」ですか...。

柏原さん

はい。そもそも塾が存在していること自体がダメだと思っています。学校の校則も、生徒の行動を縛るから存在しない方が良いと思います。私は最終的に学校を作って日本の教育を根底から変えたいと思っています。学校側は生徒それぞれに寄り添い、生徒はそれぞれが自由に生きて自由に学べるような場所を目指しています。


▲柏原さんの塾の理念

より多くの人に自分の授業を

セリナ

強い思いがあるんですね!柏原さんがどのような経緯からそのような思いを持つに至ったのですか?

柏原さん

振り返るとすべての基盤は小学生時代に作られた気がしています。私は人口150人の北海道の田舎町出身で、通っていた小学校は全校16人という小さなところでした。

セリナ

少ない!(笑)

柏原さん

はい。でも、だからこそ変わった教え方をする学校で、授業は複式学級*という方式がとられていました。母校の場合だと、3年生と6年生だけが先生から勉強を教わり、上級生は下級生に勉強を教えます。

*2つ以上の学年を1つのクラスと見て教える方法

セリナ

都会ではなかなか経験できなそうですね。田舎町だからこそ、ですよね。

柏原さん

そうですよね。自由研究も毎年やりましたし、スポーツや芸術の分野でもレベルが高く、毎年全国大会で優勝する人がいるような小学校でした。

セリナ

そんな小学生時代を送っていたんですね。主体性が養われそうです。

柏原さん

そうなんですよ。
その後、教育に興味を持ち始めたのは中学時代です。当時から私は中学生講師として活動していました。

セリナ

中学生講師...?

柏原さん

夏期講習などの講習時に、生徒としてではなく講師として、塾などで同じ中学生に勉強を教えていました。

セリナ

そんなのがあるんですか。同じ中学生に講師として教えるなんてすごいですね...。

柏原さん

ありがとうございます。中学3年生の時が自分の学力の全盛期で、全国でも上位にいけるレベルでした。高校生になって、全国模試で1位になった経験もありますよ。大学受験が終わってからは選抜メンバーとして低学年に勉強を教えたり、中学生講師の延長で同じ高校3年生の生徒に勉強を教えたりもしていました。

セリナ

模試で1位ですか!?凄すぎます...。それで、教えることに興味を持ったということですか?

柏原さん

それもそうですし、あとは所属していたサッカー部でも教育係にいた経験もあり、私にとって教育は天職なのかなと感じるようになっていきました。

セリナ

大学に入ってからもやはり教育への興味は変わらず?

柏原さん

はい。将来は教育に携わりたいという思いから、まずはアルバイトで塾講師を始めました。そこではバイトの講師リーダーとして活動させてもらえたお陰で塾の内部の様子が垣間見え、日本教育の課題が見えてきたんです。

セリナ

どういう点に課題を見出したんですか?

柏原さん

まず、塾に行けば成績が上がる、と勘違いをしている人が多いことです。それから、塾に掲載されている合格実績、進学実績は嘘なんです!

セリナ

講習の期間だけ通った人の結果も書いてあるって聞いたことがありますが、そういうことですか?

柏原さん

もちろんそれもありますが、過去の実績を少し改ざんしたりもしていたんです。

セリナ

そんな...。

柏原さん

そういった現実とは裏腹に、塾と、講師としての私を信頼してくれる人がいるわけです。それで私は授業で生徒が払ってくれる授業料に見合う価値を提供しきれていないと感じるようになってしまいました。1コマ2人の授業を担当していたので、余計にそう感じました。

セリナ

2人授業だと、1人にかけられる時間は実質半分ですものね。

柏原さん

そうです。自分で言うのもアレなんですが、私はちょっと有名な講師ではあったので、そういう風に自分を望んでくれている人たちがいるのならそれに見合ったものを提供してきちんとお返しをしていきたいと思いました。そこで、より多くの人に自分の授業を届けようとアルバイトを辞め、オンラインコミュニティの塾を自分で作りました。もう少しで法人化できる予定で、その後拡大を目指しています。

早稲田でいちばん

セリナ

柏原さんは何か他にも活動はしているんですか?

柏原さん

教育系でいうと、今はパネルディスカッションのパネラーをしたり、出張授業のように講座を担当したりしています。

セリナ

パネルディスカッションはどんな内容ですか?

柏原さん

自分の夢に向かっている高校生を対象にしたもので、企業からのオファーを受けて高校に出向き、お話しさせていただいています。

セリナ

そんなこともしているんですか。忙しいんじゃないですか?

柏原さん

そうですね。最近も全国各地飛び回っています。出張がない時も、基本的にゼミ以外の目的で学校には行かず、事務所で作業をしていることがほとんどですね。

セリナ

学校はゼミしか行かないんですね(笑)。


▲ゼミの活動

柏原さん

基本的にはそうですね...。今は学部の3年生なのでゼミに入ってその活動もしていますが、実は大学院の農業研究にも携わっているんです。

セリナ

農業研究?

柏原さん

簡単にいうと、農業と管理会計を組み合わせたようなものです。一次産業としてやってきた農業が時代の流れと共に企業化してきているのですが、農家の方々はまだそこに必要なコスト管理や経営スキル等を把握しきれていないので、私たちのように農業研究をする人などがサポートしています。農業法人の経営というのは普通の企業の経営とは全然違う、という点も難しいポイントです。

セリナ

そうなんですね。

柏原さん

ですが私は北海道出身で実家が農業法人を営んでいるということもあり、農業研究に興味を持ちその分野での研究を進めていたんです。すると学部生ながらも大学院の方から声をかけていただき、農業法人を作ろうとしているチームのアドバイザーとして参加させていただくことになりました。

セリナ

学部3年生で大学院の方から声がかかるってすごいですね!

柏原さん

ありがとうございます。格好良く言えば飛び級みたいな感じですかね。今では、早稲田の中では私がいちばん農業研究に詳しいんです。でもこれも今まで私が研究に没頭してきた成果なので、それを認めてもらえた気がして嬉しいです。

大きな挫折、半身不随

セリナ

こんなにたくさんの方面で活動するに至ったきっかけは何ですか?

柏原さん

過去に半身不随を経験したのですが、それが今の私にとって欠かせないものになっています。

セリナ

半身不随を経験されているんですか!?今はそのようには見えませんが...。

柏原さん

もう治ったんですよ。中学1年生の時、部活のサッカーの練習中に左腕の骨を折ってしまったのですが、同時に神経まできれいに切れてしまい、折れているのに痛くないという感じでした。気づいた時には病院のベッドの上。その日から車いす生活が始まりました。

セリナ

車いす生活なんて経験したことないです...。

柏原さん

それまでは怪我を知らない子どもだったのに、大好きだったサッカーができなくなり、左腕が使えなくなって思うように字が書けず、不自由な生活を送りました。

セリナ

今は普通の生活をしているようですが...?

柏原さん

リハビリを頑張れば神経が戻るかもしれないと言われたので、頑張りましたね。半年ぐらいで徐々に回復してきて、9か月くらいしたら普通の生活に戻れるようになってきました。

セリナ

たった9か月で!?

柏原さん

死ぬ気で頑張りました。でもやっぱりつらい日々でした。母親や看護師さんに、「死のうかと思っている」という相談もしました。

セリナ

そこまで追い詰められていたんですね。

柏原さん

そうですね...。で、その看護師さんがある方を紹介してくれて、その人に「人の価値って何で決まると思う?」と問われました。

セリナ

人の価値...難しい問いですよね。なんて答えたんですか?

柏原さん

中学1年生の私には答えられませんでした。正直、「中学生に何を言ってるんだ?」と思いました(笑)。

セリナ

そうなりますよね。では、何で決まると言われたんですか?

柏原さん

彼によると、「人の価値は生きている間には定まらなくて、その人が亡くなった時に偲んでくれる人の数で決まる」のだそうです。これを聞いて私は「今自分が死んだらどれだけの人が悲しんでくれるんだろう?」と考えました。そしたら自分を偲んでくれるのは親や兄弟、親戚くらいしかいないということに気づくことができたんです。このお陰で死ぬのを思いとどまることができましたね。

セリナ

人の価値は亡くなってから決まるんですね。周りの人を大切にして生きようって思いますね。柏原さんにとってこの挫折で得たものはすごく大きかったんじゃないでしょうか?

柏原さん

はい。これからは毎日をきちんと生きようと思うようになったし、より多くの人を幸せにしようと思うようにもなりました。

セリナ

その気持ちの変化は大きいですね。それがあったから、今はたくさんの活動をしているんですか?

柏原さん

「きちんと生きる」ということ全うしたいと思って今できることをやっています。


▲高校時代のサッカー部

「類は友を呼ぶ」がモットー

セリナ

そのような思いでやっているのですね。たくさんのことに手を付けるにあたって、何か自分の中で軸にしているものとかってありますか?

柏原さん

たしかに色々なことに手を付けてやると、どっちつかずになってしまうこともありますね。そうならないように自分で分別をつけるように心掛けています。ただ一点、人と関わることが好きなのでそこをブラさないようにしています。

セリナ

人に何かを伝える、とかですか?

柏原さん

それもあります。プレゼンも得意な方で、プレゼンの技術を認められて京都大学での発表会に呼んでもらい、プレゼンさせてもらえたこともあります。あとは、言葉でなくても伝えられることもあります。サッカーなんかは、口頭でなくても一緒にやっているうちに意思疎通できるんです。それが楽しさでもありました。

セリナ

いろいろな経験をしてきたんですね。

柏原さん

そうですね。それと、私は「類は友を呼ぶ」という言葉を信じています。

セリナ

というと...?

柏原さん

自分がある人に、「○○をやってみたいと思っているんだ」と伝えると、その人がさらに知り合いを紹介してくれることってありますよね。私はその紹介でできた繋がりを大事にしたいなと思っています。

軸と思いさえあれば、なるようになる

セリナ

大学3年生も終わりに近づいていますが、就職活動はしているんですか?

柏原さん

いえ。私は就職活動をしていませんし、するつもりもありません。先程の塾を3月に法人化する予定なので、その法人化とその後の活動に注力していきたいと考えています。もう目標も設定してあるので、会社の拡大に向けて全力で取り組むつもりです。

セリナ

それがここ1年間の目標ですか?

柏原さん

そうですね。その後はなるようにしかならないと思っています。今できることをやっていく中で自分も成長していくはずですから、視野が広がってその先にすべきこと、したいことが見えるようになってくると思います。

セリナ

柏原さんの今後が楽しみです!

柏原さん

嬉しいです。私自身も楽しみです。

思い立ったが吉日

セリナ

読者にメッセージをお願いします。

柏原さん

思い立ったが吉日です!やりたいと思ったら行動するのが一番だと思います。

セリナ

なるほど...。行動する方が良いっていうのはよく聞くのですが、そうは言っても何をしたらいいか分からないんですよね...。

柏原さん

そういう人は、まずは身近にいる先輩などに頼ってみたら良いと思いますよ。自分の思いを少し話してみると、自分の知りたいことに詳しい人を紹介してもらえることもありますから。

セリナ

たしかに、頼りになる存在を見つけられるといいですね。

柏原さん

はい。後は、思いさえあればなるようになります。だからこそ、先ばかりを見過ぎる必要はありません。5年後10年後に何しているかなんて、今から考えても結局分からないんですよ。思いがあるからこその行動ですから、まずは1つ自分の中でぶれないものを決めて、それを軸に進んでいくのが良いと思います。

セリナ

思いを強く持つのって、その先を歩むのに大きな支えになりそうですね。
本日はありがとうございました。

柏原さん

ありがとうございました。

今を精一杯に

半身不随という大きな挫折も乗り越え、学んだことをバネに今を精一杯生きる柏原さん。
模試でトップになったり京都大学でプレゼンに呼ばれたり、大学院からオファーを受けたり、経歴がすごすぎます...。
そんな柏原さんが、塾に通わなかったからこそ塾を作るというのは私にとって意外な選択でした。でも、だからこそ「教育を根底から変えたい」という思いを強く持っている方でした!

ライター紹介

セリナ

早稲田大学国際教養学部2年生。好きなことは、旅行、ピアノ、音楽鑑賞。

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